


2417号
桜咲く春と言えば、花見に入学式に入社式。加えて全国交通安全運動を思い浮かべる人も多かろう。警察庁が5月中だった春の運動を新入学児童のために繰り上げてから、今年でちょうど40年。4月の恒例行事としてすっかり定着した▼そのかいあってか、昨年の全国の交通死者は4914人で、ピークだった1970年の1万6765人の3割をも下回った。子どもの犠牲者も減ったが、ここへ来て子どもへの安全指導が一変したのをご存知か。きっかけは一児童の交通標語。「青だけど車は私を見てるかな」。警視庁交通部の担当官らは一読し、幼心に潜むドライバーへの不信感にドキッとしたという▼けなげにも青信号で手を上げて横断歩道を渡っていながら輪禍に散った幼い命は数え切れない。漫然と「青なら進め」と教えてきたせいではないか。反省を踏まえ、最近はこう教える。青信号でもあわてて道路に飛び出してはいけないよ。左右から車が近づいてきたら、ドライバーの目を見て、こちらに気付いて車を停めたのを確認してから渡りなさい……▼大切なのはドライバーとのアイ・コンタクト、と強調する。幼い時から習慣づければ、老いて後まで暴走車から身を守る術となる。だが、指導役の警察官は悩み、しゅん巡する。果たして、子どもに大人を信用するな、と教え込むことが正しいことなのか▼事故件数は大して減っていないのだから、死者数の大幅減少は車の安全性能や救急救命医療の向上、道路環境の整備、さらには飲酒運転などへの厳罰化の効果によるものと考えねばなるまい。ドライバーのモラルや注意力が大きく変わったとは思えない▼子どもたちを真っ直ぐ育てるためにも、信頼されるように心掛けつつ、安全運転への意識を新たにしたい。とりわけ事故を多発させているタクシードライバーには、命を預る者としての自覚と奮起を促したい。春の交通安全運動は明6日から。